4月
07
活きのいいアサリを沢山手に入れたので、王子と撫子に分けてあげた。
—
帰宅した王子は早速アサリの砂抜きに取り掛かる。しばらく塩水につけていると、アサリに付いていたらしい小さなカニが這い出してくるのを見つけた。王子はスマホを取り出し「アサリからカニ」というワードでググり始める、すると情報が色々と出てきた。このカニをどうしたらいいのだろう。
その頃、撫子のほうも帰宅しアサリの砂抜きを始めていた。彼女のアサリにも小さなカニがついていたが、活きのいいアサリにはよくある事なのを知っていたので特に何も考えることなく放置した。
二人は晩御飯にアサリを食べた。とてもおいしかった。
—
翌日、二人が私の所に来てアサリのお礼を言ってきた。そして王子が小さなカニの事を切り出してきた。
結局王子はカニを可愛そうに思い、わざわざ海まで行って放してきたらしい。対して撫子のほうは気にせずカニごと茹でて味噌汁にして食べたそうだ。
この後、王子と撫子は互いのカニへの処遇について激論を交わし結構な喧嘩に発展することになるが、私は王子も撫子もどっちもかわいくて好きだから、適当な所で落としどころが見つかるといいなあ、と、ただそう思う。
(フィクション)